2005年12月6日

以前私のホームページに、CIAの捕虜連行をめぐって、「SAP(special access program)の恐怖」というエッセーを載せましたが、ヨーロッパでは米国がアル・カイダの関係者やテロリストの容疑者を誘拐し、ヨーロッパの空港経由でアフガニスタンなどに連行し、尋問しているという疑惑が大きな問題となっています。ドイツを訪れたライス国務長官に対しても、メルケル首相がこの問題で苦言を呈したほどです。ドイツ政府によりますと、民間機に偽装されたCIAの飛行機が、ドイツの空港を利用した例は400回にのぼると言われていますが、その内何本の便に捕虜が乗っていたかなどの細かい状況は、諜報機関の活動に関する問題なので、絶対に明らかにされることはないでしょう。

メルケル首相もシュレーダー前首相に比べて対米関係を改善しようと考えていたのかもしれませんが、CIAの捕虜連行問題で世論が沸騰していることから、早々に蜜月は望めないようです。

聴くところによると米国では、ヨーロッパ人がCIAの捕虜連行や、秘密収容所について怒っていることについて、理由がよく理解できないそうです。イラク戦争をきっかけに、米欧の間にできた溝は、一朝一夕には埋まりそうにありません。